僕たちはまだメイドカフェを知らない

#12 | メイドカフェは「外食の未来の姿」だと信じている

僕はメイドカフェが好きだ。

好き過ぎるあまり、聖地である秋葉原から徒歩10分圏内に引っ越し、メイドカフェを運営する会社で働きはじめた程です。

メイドカフェが好きな理由はいたって単純で、誘った相手が喜んでくれるから

お店には可愛い女の子がいて、料理に魔法をかけてくれて、思い出にチェキを残す。

そのバカバカしくもキュートな空間で、ニヤニヤしながら楽しんでいる友達を見て、嬉しさだけでなくやりがいさえ感じます。

ただ、それだけの理由では、「毎日の仕事にしたい」「消費者ではいてられない」という思いにまで至る説明が自分でもできませんでした。

誘った相手が喜んでくれること以上の何かがあるに違いないと考え、その答えを探すかのようにメイドカフェについて語るようになりました。

未体験者をメイドカフェに連れていき、お店のオーナーと対談して、はたまた手伝いでビラ配りをする中で。

するとある時、からまっていた糸がほどけ、一つの真実が見えてきました。

メイドカフェが好きな理由は、メイドカフェが「外食の未来の姿」だからなのかもしれません。



1.食事の満足度

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キーワードとなる「外食の未来の姿」についてお話する前に、1.食事の満足度、2.メイドカフェ に対する考えと知識を簡単に説明させてください。

こんなこというのもおかしな話かもしれませんが、「食事」って凄くないですか?

だって誰もが1日3回も人を喜ばせるチャンスがあるんですもん。

子供やパートナーのために朝早く起きて作られた弁当、職場の仲間に連れられて食べに行くランチ、仕事が終わり家族と楽しむ食卓。

自分のために料理を作ってくれたら、自分をお店に誘ってくれたら嬉しいと思います。

しかもそこで食べた料理が美味しいものだったら、感動もひとしおです。

食事に満足する時というのは、好きな相手と食事できることや料理が美味しいこと以外にも様々な理由がもちろんあります。

お腹いっぱいになった時、季節限定料理を食べた時、お洒落なお店に行った時、健康的な食事をした時、お仕事がんばった後…

でもその中で、食事の満足度に大きく影響するのは「誰と」「何を」食べるのかだと僕は考えています。

いつどこで何を食べるかに関わらず、相手によって楽しい食事にもつまならい食事にもなります。そして、料理の美味しさは食事のシンプルで最もわかりやすい評価であるため、この2つを重視しています。

毎回の食事を、誰と食べたか × 何を食べたか で振り返ってみるとざっくりと満足度が測れるわけです。


2.メイドカフェとは

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メイドカフェという言葉を聞いて、どのような印象を持ちますか?

秋葉原、オタク、萌え…

おそらくどれも間違っていないと思いますが、もしかしたら何らかの固定観念を持たれている方も中にはいるかもしれません。

また、可愛い女の子とおしゃべりできることでいうと、キャバクラやガールズバーに近いかもしれませんが、いくつか違いがあります。

メイドカフェ キャバクラ ガールズバー
料金 2000円~ 5000円~ 3000円~
ポジション 茶店・居酒屋・レストラン・バー キャバクラ バー
メインメニュー 料理・ドリンク・チェキ お酒 お酒
聖地 秋葉原 歌舞伎町 銀座?
コミュニケーション 女の子と会話を楽しむ
Twitterでのフォロー
女の子を口説く 連絡先交換できる
女の子と会話を楽しむ

メイドカフェで特徴的なのは、①客と店員の適度な距離感、②女の子はオタク趣味の子が多いこと、③飲食店であること

①客と店員の適度な距離感

メイドカフェはキャバクラと違って、お店で席の隣につくことはなく、店外で1対1で連絡することもできません。

そこに物足りなさを感じる方もいるかもしませんが、逆にいうとお互い固執すること(=客を捕まえなければいけない・この子を自分のものにしたいなど) がないという良さがあるのです。

②女の子はオタク趣味の子が多い

オタクカルチャーの発信地である秋葉原から始まった文化なので、アニメとかゲームとかが好きな子が多いです。

③飲食店であること

カフェと銘打っている以上、料理やドリンクが提供されます。

価格は通常の飲食店の料理より300~500円高い印象がありますが、その分だけお絵かきオムライスや各店員が作るオリジナルカクテルなど趣向を凝らしています。

※ただ、メイドカフェはお店によって美味い、不味いがはっきりと分かれます。


3.外食の未来の姿

以上が、1.食事の満足度、2.メイドカフェ に対する見方です。

では本題に戻って、外食の未来の姿とは何なのかを考えていきましょう。

今まで食事を決める時に、美味しいかどうかが重要な価値基準だったと思います。それは誰にも否定できない事実で、平安時代も現代もこの先もずっと変わらないでしょう。

しかし、それ以外の要因はテクノロジーや時代性や流行によって変動していると感じます。

例えば、SNSで自身の考えや生活の一部を発信するのが当たり前になった現代において、インスタ映えを求めて、お店を選ぶ人が増えています。それがこの先ずっと続くかは正直わかりませんが。

そういった食事を決める時の要素を整理すると、「WHEN」「WHERE」「WHO」「WHAT」「WHY」に分けられます。

意味
WHEN 朝・昼・夜 朝はあっさりしたものを、夜はがっつり食べたい。
WHERE アクセス
内装
家から近い方がいいな。
お洒落で落ち着いた雰囲気のお店に行きたい。
WHO 食事の相手 この人と話したいから誘う。
WHAT 料理の味
料理の見た目
美味しいとテレビやネットで話題。
インスタ映えするらしい。
WHY 食事の理由 寒い日だから温かいものを口にしよう。

そして今後数年で「WHO」つまり誰と食べるか、あるいは誰と会うために食べるかが占める割合が大きくなるのと考えています。

言い換えると、外食の未来の姿とは「そこに誰がいるかでお店が選ばれる」ということです。

メイドさんに会いに訪れるメイドカフェは、その姿に一致するのではないかと思っています。

その思い描く外食の未来の姿の根拠は、「結婚率の低下」「人手不足」「評価経済社会」の三つです。


4.外食の未来が「WHO(人)」である根拠

①結婚率の低下

f:id:maikit:20171203124056j:plain ※生涯率未婚率の推移 *1

近年、結婚率が低下していると言われています。それは、女性の経済力が上がったことや、若者男子の草食化など原因は様々です。

結婚率が低下すると、食事という面でどういうことが起こるかというと、特に男性は中食(弁当)と外食の機会が格段に増えるでしょう。

弁当は外食に比べるとたしかに安くすみ、料理するよりも楽かもしれません。

しかし、人は食事において近くに人の存在を感じていたいものなのです。自宅で一人で食事をする際、鏡を置いて自分の姿を認識しながらご飯を食べると、幸福度が上がるという研究結果があるほどです。

とはいえ、外食する際にいつも親しい人を誘うことは簡単ではありません。この忙しい時代には、お互いの時間があり、スケジュールを合わせるのも一苦労です。

なので、「いつでも親しい人に会いに行ける飲食店」が求められるようになるのではないでしょうか。

②人手不足

飲食の現場において、人手不足が深刻化しています。外食業界は人材の取り合いが激化し、過去最高の時給を提示する企業が増えています。原因は、ハードな労働環境や、少子化などです。

そんな人手不足を打開する形で、機械化やIT化が今後これまで以上に進むということが容易に予想できます。

例えば、完全キャッシュレス店舗(= 現金お断り)を実験中のロイヤルホールディングスが開業した「GATHERING TABLE PANTRY」。

会計は各種クレジットカード・電子マネーのみにすることで、レジ締め作業などの従業員や店長の業務負担が減り、営業終了後にはこれまでより早く帰ることができているとのことです。

www.asahi.com

機械化の例でいうと、コジマ技研の串刺し機がわかりやすいです。

焼き鳥屋さんで人力だと一人で何時間もかけてようやく100~150本刺し終わるところ、串刺し機の導入で一時間で150~200本になったとのことです。

食品機械の市場は拡大し、2016年まで食品機械の国内販売額は5年連続で増えていると聞いています。

テクノロジーの進化は急速で、そんな機械化やIT化が進み、3~5年後に店員は自由を持て余すようになるのではと思います。

そうすると店員が提供できる価値はお客さんとのコミュニケーションと捉え、そこでの差別化を考える店が段々と現れるはずです。

評価経済社会

評価経済社会という言葉をご存知でしょうか。

「評価」を仲介として、モノ、サービス、お金、が交換される社会。
出典:はてなキーワード

お金を持っていれば「モノ」「サービス」を交換できる貨幣経済社会から、評価(=信用)によって取引される社会に少しずつシフトしていっています。

例えば、メルカリやAirbnbといったアプリを利用すると、「良い・普通・悪い」や口コミなどの相互レビューが行われ、そのことにより相手の信頼性を確認できるようになっています。

また、見せかけだけ取り繕うことも可能ですが、FacebookTwitterのフォロワー数などもわかりやすい評価基準です。

オフラインやオンラインのあらゆる場面でなされる、そういった評価がいずれ一つに統合され、その個人が持つ信用を対価に「モノ」「サービス」「お金」が交換されていくことでしょう。

僕はクラウドファンディングを運営している会社でも働いていますが、信用がお金に変わる瞬間を間近で見てきました。

人のために尽くして信用を積み重ねてきた人は、「この人なら何か凄いことをやってくれそうだ」「お世話になったから恩返しがしたい」という思いを持たれ、たとえ個人であろうとクラウドファンディングで数百万円の資金を実際に集めています。

日々の生活の中で評価を得ることが更に意識され、飲食の現場でも同じことが起こるようになります。

そこで必要に迫られて店員が行うようになるのが、お客さんとのコミュニケーションではないでしょうか。

お客さんのニーズに沿ってメニューを紹介し、料理の知識を披露し、他愛ない世間話や時には相談ごとに乗る、といった努力を尽くします。

新しい社会を生きるために、自身のファン(応援者)を獲得することが当たり前になっていきます。

まとめると、

  1. 結婚率の低下 → 「いつでも親しい人に会いに行ける飲食店」を求めるようになる(客視点)
  2. 人手不足 → 解決した先に、お客さんとのコミュニケーションにリソースを割く(店視点)
  3. 評価経済社会 → ファンを獲得しようと努める(店員視点)

が要因で実現されるのが「そこに誰がいるかでお店が選ばれる」という世界です。

そして、その「外食の未来の姿」に最も近いのがメイドカフェなのです。


5.僕はメイドカフェが好きだ

ここまで、理屈じみたことを言ってはいるものの、根本にあるのは純粋にメイドカフェが好きだということです。

好きな子といつでもしゃべれる機会と、夢中になれる何かをもつ人たちが集まるポジティブな雰囲気と、独特なコンセプトを味わえる場に心惹かれています。

食事やカフェが特別な瞬間に変わるのです。

この体験を広げていくために自分の時間を使いたい。

その気持ちが高まり、メイドカフェの業界で働くことを決意し、今月から身を置くことになりました。

一度きりの人生です。周りにどう思われようとも好きなことを思いっきりやります。

何かを好きという自分の気持ちは大切にしたいし、同じように大切にして欲しいです。

僕は僕の信じる理想を実現するために、今日もどこかで挑戦しています。

*1:国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集」、国勢調査(2015年)を元にHuffington Post Japan作成